元ビルズのパンター、コーリー・ボホルケスが1年契約の1.1億円でラムズに加入しました。ですがラムズにはプロ入り後全試合に出場してプロボウル4回選出のジョニー・ヘッカーがおり、契約は2023年まで残しています。
Embed from Getty Imagesボホルケスは2020シーズン平均パントヤード(50.8ヤード)と最長距離(72ヤード)でNFLをリードしており、平均パントヤードに至ってはリーグ史上4番目の数字を叩き出しています。しかし良いパンターであればビルスが放出するはずもありません。
そこでヘッカーとボホルケスについてスタッツを比較して考えてみました。
うーん、やっぱりパンターの数字って他のポジションに依存するんでなんとも…NETとかもスペシャルチームの能力に依存しますしね。そもそも毎シリーズタッチダウン取れればパンターなんて不要ですし。。。
ただ調べてわかったのは、ヘッカーの成績のうち最長距離、平均ヤード、NET平均がプロ入り後最低だったということです。反面、ボホルケスはいずれの数値もプロ入り3年で最高の数字を記録していました。
これだけだと明確な理由がわかりづらいので、パントをした位置ごとのさらに細かいスタッツで比較してみました。
まずは自陣1〜20ヤードからのパント。下手をするとセーフティになりかねない状況でのパントですね。最長距離はボホルケスが10ヤードもリードしていますが、平均するとあまり差はなく、NET平均(パントヤードからリターンヤードを引いて、パント数で割った数値。高いほど優秀)はヘッカーの方がかろうじて秀でています。獲得ヤードやリターンヤードなどはパント能力だけでは測れない、外的要因が影響するので参考程度の数値になりそうです。
続いて自陣21〜50ヤードからのパントです。こちらでも最長距離はボホルケスが大きくリードしています。NETも平均して6ヤードほど稼いでいるので、ボホルケス有利という状況でしょうか。またこの距離ではボホルケスのミラクルパントがありました。
まさに神業ですね…しかし完全に狙ってやったかというとそうでもなさそうです。
敵陣49〜20ヤードでのパントシチュエーションでは、ヘッカーの20ヤード以内へのパント成功が91.6%(11/12回)であるのに対して、ボホルケスはパント数こそ少ないものの、20ヤード以内へのパント成功が33.3%(1/3回)と完全に見劣りしてしまっています。NET平均も5ヤードの差があるので、あまり細かい技術は持ち合わせていないようですね。
というかヘッカーの12回というのも地味に気になりますね…昨シーズンは長年在籍していたキッカーのグレッグ・ズアーレインがカウボーイズに移籍した影響で正キッカー不在だったことも関係しますが、敵陣49ヤードから35ヤード付近でパントシチュエーションになってしまったのが12回もあるということですからね(スタッツは49〜20ヤード時点の数値ですが、正キッカー不在といえどさすがに30ヤードくらいであればキックを選択しますからね)。これより多いのはジャイアンツ(15回)、ペイトリオッツ(14回)、カーディナルス(13回)しかいないので、攻撃力不足+キッカー不在が数字として如実に出てしまっていましたね。
ということで最長距離からもわかるように、飛ばす力だけならボホルケスの方が秀でていますが、やはりまだまだ経験値や20ヤード以内に落とす技術力はヘッカーの方が何枚も上手のようです。そういったことから、ボホルケスの加入は
- 成績が落ちてきたヘッカーに競争相手を当てて発奮材料とする
- ヘッカーの成績が上向かないようであれば、安いボホルケスという選択肢を取る
というのが狙いだと言えるでしょう。
反面、今年はQBスタッフォードが加入したので間違いなく昨シーズンよりも攻撃力はアップするはずですし、キッカーも昨シーズン中盤からマット・ゲイでなんとか固定されました。以前よりも着実にボールを前に進めてくれることを考えれば、敵陣49〜20ヤードでのパントは必然的に少なくなるのでヘッカーをカットしてその分スタッフォードのために攻撃陣を厚くするという選択肢も出てきます。現在パンターとしてリーグ最高額の契約を結んでいるヘッカーを仮に6/1以降にリリースした場合、確保できるキャップスペースは約4億円。デッドマネーは1.3億円ほどで済みます。
なんにせよパンターは出場機会も多くないので地味なポジションになりがちですが、今年はこの二人の競争も楽しみですね!
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