2020年シーズンを振り返りながらQBジャレッド・ゴフがライオンズにトレードされた理由を考えていく本連載のWeek2。2試合目の相手は2016年ドラフト全体2位のカーソン・ウェンツ率いるフィラデルフィア・イーグルス。ゴフとウェンツの同期対決は同期ということもあり何かと比較されることが多いですが、2人が直接対決したのは2017年の1度のみでその時はウェンツに軍配が上がりました。ゴフは雪辱を果たせるか。
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まずは試合結果を振り返っていきます。
試合結果
イーグルス最初のポゼッションシリーズでRBマイルズ・サンダースをラムズのLBマイカ・カイザーがタックルしてファンブルを誘うと、LBケニー・ヤングがボールを確保してラムズの攻撃に。41ヤードを5プレイ、最後はTEタイラー・ヒグビーへのTDパスでラムズが先制。ラムズはWRロバート・ウッズのラッシングTDと再度ヒグビーへのTDパスで前半だけで21点を奪う。イーグルスもウェンツのTDランなどで21対16とし、ラムズリードで前半を折り返す。
3Qは両チームがFGを決めた後、ゴフはこの日3度目となるヒグビーへのTDパスで点差を広げるとRBダレル・ヘンダーソンのラッシンングTDでダメ押しして試合終了。3年連続開幕2連勝を飾ったゴフに対しウェンツは連敗となりました。
試合全体の感想
Week1の接戦から一転して快勝したこの試合全体の個人的ハイライトはこの3つでした。
- マイカ・カイザーの成長
- キャム・エイカーズOUT ダレル・ヘンダーソンIN
- ブロッカー、ロバート・ウッズ
マイカ・カイザーの成長
Embed from Getty Imagesこの試合目立っていたのは試合開始早々にファンブル・フォースを決めたILBマイカ・カイザー。前の試合ではタックル7回(ソロ6回)に対してタックルミスが7回(50%)と残念な成績でしたが、この試合ではタックル15回(ソロ10回)に対してミス1回(6.3%)と劇的に改善しました。前年は胸の怪我で全休したこともあり、その鬱憤を晴らしたかたちです。
控え選手が活躍
Embed from Getty ImagesWeek1同様先発RBはキャム・エイカーズでしたが、肋骨を痛めたためキャリー3回18ヤードでRBダレル・ヘンダーソンと交代。ヘンダーソンは前年トッド・ガーリーの負担を軽減するためにドラフト3巡目で指名されましたが、13試合でキャリー39回147ヤードと伸び悩みました。その結果20年ドラフトでエイカーズを2巡目で指名したという経緯があるのですが、この試合ではキャリー12回81ヤード(平均6.75、最長40ヤード)1TD、レシーブでもキャッチ2回ながら40ヤードを稼ぎ大活躍。1人のエースRBに頼るのではなく複数のRBで回していくというショーン・マクベイHCの方針が奏功しました。
3QにはLGジョセフ・ノートボーンがWRヴァン・ジェファーソンのリードブロックに行こうとした時に負傷してしまいましたが、2019年ドラフト5巡目指名のデビッド・エドワーズが代わりに入り、シーズン終了まで先発の座を死守しました。
またCBトロイ・ヒルの控えであるダリウス・ウィリアムスが3Qにあわや逆転のTDダウンとなるパスをエンドゾーンでインターセプト!ヒルは2021年オフにブラウンズへ移籍してしまいましたが、ジャレン・ラムジーとウィリアムスがいれば21年もCBポジションは相手チームの脅威となり続けるでしょう。ちなみにウィリアムスは21年にジャージナンバーを31から11に変更しました。本当は1をつけたかったみたいですが、WRデショーン・ジャクソンに譲ったようですね。
ポジションに縛られないプレイ
Embed from Getty Images4Q残り約4分の時点で3ポゼッションにして勝利を確実なものにしたダレル・ヘンダーソンのラッシングタッチダウン。残り2ヤードを無理やり押しこんだヘンダーソンの粘りはもちろん素晴らしかったのですが、このシーンでWRロバート・ウッズもブロックに参加しており、ヘンダーソンはそのウッズの背中を押し込むようにしてタッチダウンしました。ウッズは183cm 88kgとNFLでは決して屈強なフィジカルがあるとは言えないながらもヘンダーソンの道を作りました。
ウッズはこの試合他にも何度かリードブロックを担うシーンがあります。またこの日ヘンダーソンがレシービングで40ヤードを稼いだように、WRであるクーパー・カップやヴァン・ジェファーソンもラッシングを記録、ウッズに関してはラッシングTDも決めています。このようにそれぞれがポジションに縛られない活躍をすることで相乗効果が生まれたと言えると思います。この起用の裏には2017年にRBトッド・ガーリーをデュアルスレットで起用した成功体験があるのでしょう。
今週のゴフ
成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | 被サック | レイティング | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ゴフ | 20/27 | 74% | 267 | 9.9 | 3 | 0 | 1-9 | 142.1 |
ウェンツ | 26/43 | 60.4% | 242 | 5.6 | 0 | 2 | 0 | 56.5 |
この日はWeek1から一転、悪いところを探す方が難しいほど素晴らしいプレイを見せてくれました。良すぎて逆に言いたいことがないくらいですが、ゴフに関してこの試合でピックアップしたい点は下記です。
- レイティング142.1の大活躍!
- レッドゾーンでのタッチダウン率80%
- 20年シーズンお気に入りプレイ
レイティング142.1の大活躍
パス267ヤード、成功率74%、タッチダウンパス3回、インターセプト0と文句のつけようのない素晴らしいプレーでした。レイティングは142.1を記録し、キャリアで4番目に高い成績を残しました。まあイーグルスディフェンスがあまり強くなかったというのはありますが、ミドルパスを中心に右へ左へギリギリのところへのパスを積み重ねてフランチャイズQBとして申し分ない活躍をしました。
またパスだけでなく、ランプレイでも技が光りました。1Q残り約2分、クーパー・カップの右へのスイープと見せかけて左へスイープするロバート・ウッズにさりげなくトスをしてそのままタッチダウンを決めた場面。ここでのウッズへのトスはとても綺麗に決まったプレイだと思います。パスの調子がいい時はこういう細かいプレイも良くなるんですかね。
レッドゾーンでのタッチダウン率80%
Week1のレッドゾーンでのタッチダウン率は25%(決めたのはラッシングTDのみ)でしたが、この日はTD率80%を記録!5回中4回をTDで終わらせています(TDは5回決めていますが、TEタイラー・ヒグビーへのTDパスの一つはレッドゾーン外からのパスでした)。この日はヒグビーへのTDパスが3つも決まったので、前述したように様々なポジションの選手が様々な役割で活躍する、理想的な試合だったと思います。決定力不足なんて言わせない素晴らしいパフォーマンスでしたね。
20年シーズンお気に入りプレイ
これは2020年シーズンによく見ることになる、ゴフのお気に入りプレイ。(この時は)ノーハドルからのプレイアクションで左に抜けたタイラー・ヒグビーにマークが集中し、同時にゴフにプレッシャーがかかったタイミングで中央でフリーになったクーパー・カップにパスを通すというデザインされたプレイなのですが、20年シーズンではこのプレイをよく使っている印象だったので手応えを感じたようです。意表を突くプレイなので見ていて気持ちいいですね。
まとめ
完璧なプレイを見せてくれたWeek2のゴフのまとめはこちら。
- 3TD、レイティング142.1の完璧なプレイ
- Week1で心配された決定力不足が嘘のように決まったTD
- プレイアクションからの中央へのパスに手応えを感じる
次回はWeek3バッファロー・ビルズ戦です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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