試合結果
いやー完敗です。
同地区対決で開幕から3連勝同士の対決となったこの試合ですが、蓋を開けてみれば37対20でカーディナルスの圧勝。ラムズがカーディナルスに敗北したのは2016年の最終戦以来で、ショーン・マクベイHCが就任してからは初めてのことだったのでいかにカーディナルスが着実に力を付けてきたのかがわかります。まぐれで勝ったという内容でも点差でもないですからね。カーディナルスは4連勝でNFC西地区単独首位に立ち、ラムズは今季初黒星で地区2位に転落しました。
スタッフォードは移籍後最低の成績
Embed from Getty Images成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | 被サック | レイティング | BadTh | Drops | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
M.スタッフォード | 26/41 | 63.4% | 280 | 6.8 | 2 | 1 | 0 | 89.5 | 11 | 1 |
C.マレー | 24/32 | 75% | 268 | 8.4 | 2 | 0 | 3-19 | 120.3 | 2 | 1 |
この試合のスタッフォードは移籍後ワーストと言っていいパフォーマンスでした。パス41回中26回成功(63.4%)で280ヤード獲得、2TD、1INT、レイティング89.5でバッドスローは11回と今季最多でした。過去3試合でのパス獲得ヤードの平均は10ヤードだったのですが、この試合の平均は6.8ヤードと大きく後退しました。要因はロングパスへの徹底マークだったように思います。
Week1でのパス最長距離はヴァン・ジェファーソンへの67ヤード、Week2ではクーパー・カップへの44ヤード、Week3ではデショーン・ジャクソンへの75ヤードで、その強肩と精密なパス、そして特にWeek1、3ではディープスレットとの連携によってビッグプレイを生み出してきましたが、この試合ではカップへの35ヤードが最長でした。
1Q残り9分ごろ、デショーン・ジャクソンを狙ったロングパスがカーディナルスのCBバイロン・マーフィーにインターセプトされてしまった場面。Sジャレン・トンプソンが15ヤード付近までをカバーしつつ、マーフィーはジャクソンへのロングパスがしっかり頭に入っていたと思われるので、スタッフォードのプレイアクションの動きとジャクソンが駆け上がってくるのをしっかり見ながらロングパスに対応し見事にインターセプトを決めました。
前の試合120ヤード(3レシーブで平均40ヤード)という見事なまでにディープスレットとしての役割に特化したジャクソンを狙ったプレイだったと思います。
拗ねるウッズと敗因
Embed from Getty ImagesWRクーパー・カップはWeek3までに367ヤード、5TDを獲得してNFC攻撃部門の月間最優秀選手に選ばれましたが、一方で昨年936ヤードを獲得したWRロバート・ウッズが実力に伴ったチャンスを与えられていないというニュースが出ました。
確かにWeek4を含めたスタッツを比較すると、カップがターゲット46回とずば抜けて多く、次いでウッズの25回、WRヴァン・ジェファーソンが18回、TEタイラー・ヒグビーが18回、RBダレル・ヘンダーソンが13回、WRデショーン・ジャクソンが10回とレシーブのチャンスに偏りが生じていました。
ターゲット | レシーブ | ヤード(平均) | ADOT | ||
---|---|---|---|---|---|
C.カップ | WR | 46 | 30 | 431(14.4) | 8.3 |
R.ウッズ | WR | 25 | 15 | 172(11.5) | 9.6 |
V.ジェファーソン | WR | 18 | 13 | 226(17.4) | 12.2 |
T.ヒグビー | TE | 18 | 15 | 152(10.1) | 4.6 |
D.ヘンダーソン | RB | 13 | 10 | 90(9) | -1.2 |
D.ジャクソン | WR | 10 | 6 | 147(24.5) | 21.6 |
しかもウッズはこの試合6回ターゲットとなりましたが、そのほとんどは負けが濃厚となった試合終盤だったのでウッズが不満をあらわにした、という見方があったのですがマクベイHCはそれを否定した、というような流れでしたが、まあ不満は絶対あると思います笑
ウッズの感情はさておき、このターゲット数の偏りと起用法をカーディナルスのレシーバー陣と比べた時に、ラムズとカーディナルスの違い、そしてラムズの敗因があるんじゃないかと思いました。レシーブヤードを見るとターゲットに比例してカップがダントツの431ヤードで、次がジェファーソンの226ヤード、3番目がウッズの172ヤードと続きます。
またADOT(Average depth of target when targeted – パスキャッチ成否に関わらずターゲットになった回数で割った平均)を見ると、カップとウッズはショート〜ミドルあたりが基本となり、ジェファーソンはミドル、ジャクソンはロングと棲み分けがされています。
ターゲット | レシーブ | ヤード(平均) | ADOT | ||
---|---|---|---|---|---|
D.ホプキンス | WR | 25 | 17 | 225(13.2) | 10.4 |
A.J.グリーン | WR | 24 | 15 | 248(16.5) | 11 |
C.エドモンズ | RB | 22 | 20 | 140(7) | 1.8 |
R.ムーア | WR | 18 | 16 | 211(13.2) | 2.2 |
C.カーク | WR | 18 | 16 | 244(15.3) | 15 |
M.ウィリアムス | TE | 16 | 15 | 179(11.9) | 5.6 |
一方でカーディナルスを見てみると、ターゲットはランニングバックのチェイス・エドモンズを含め綺麗に分散されており、タイトエンドのマックス・ウィリアムスまで含めても10ターゲット以上差がない状態。レシーブヤードについても4人のWR全員が200ヤード超え、RBエドモンズも140、TEウィリアムスに関しても179ヤードと均一にレシーブヤードを獲得しています。この試合でもホプキンス、グリーン、ウィリアムス、エドモンズは7〜5回のパスターゲットとなっており、状況に応じて投げ分けられていることがわかります。一方でラムズはカップが13回とダントツで多く、ウッズ、ジェファーソン、ヒグビー、ヘンダーソンが6回と続いています。
またADOTはさすがにRBのエドモンズは低く、また新人のロンデール・ムーアも異様に低いのですが、突出した選手もいない状況です。
この数字の違いから考えられるのは、ラムズはそれぞれの選手に明確な役割があるためにプレイを読まれやすくなっており、逆にカーディナルスは(もちろん細かい役割はそれぞれあれど)誰かがマークされても他の選手が必要な役割をこなすことができるためプレイの幅が広く読まれにくいということなんじゃないかと思いました。
これまでのカーディナルスの試合は正直あまり見れていないので間違っていたらご指摘いただければと思うのですが…ラムズに関しては前述したデショーン・ジャクソンからのインターセプトでしたり、この試合での苦戦からこのような問題があるんじゃないかと考えています。
2つのターンオーバーとRBミッシェルの失態
この試合ラムズのターンオーバーは2つあり、1つは前述したスタッフォードによるインターセプトでしたが、もう1つはRBソニー・ミッシェルによるファンブル・ロス。しかもスタッフォードのインターセプトは敵陣13ヤード付近だったのに対し、ミッシェルのファンブルは自陣21ヤードだったのでかなりタチの悪いターンオーバーでした。
両方ともタッチダウンに繋がってしまっているので結果的には同じと言えば同じなんですが、この2つのターンオーバーがなく、もしそれぞれがラムズの得点に繋がっていれば…とタラレバを考えてしまいます。このファンブルの前と後では明らかに試合の流れが変わっていましたからね。まあこの日のディフェンスとマレーのパフォーマンスを見るとそれでも全然負けてそうな感じですが、ミッシェルが3キャリーでファンブルを犯した後フィールドに戻ってくることがなかったのを見ると、ターンオーバーの試合への影響がわかりますね。
パスラッシュもバックスも低調
前述の通りスタッフォードによるパスの偏重やターンオーバーも敗因の一つだと思いますが、大きな原因はやはりディフェンスがQBカイラー・マレーを全く止められなかったことでしょう。
まずパスラッシュが物足りなかったですね。チーム合計3サックをマレーに浴びせているものの、なかなかマレーに致命的なプレッシャーを与えることができず、QBヒット(QBがパスを投げている時のヒット)は0でした。(それでもマレーが受けたプレッシャー率28.2%は今季最多でしたが)。
ラムズのD#はなんといってもDTアーロン・ドナルドです。ドナルド率いるDLが仕事をしないと悪い流れがディフェンス全体に波及してしまいます。
Snaps | タックル(ソロ) | TFL | ターゲット | 被パス成功(%) | 被Yds | 被Yds/Tgt | レイティング | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
J.ラムジー | CB | 100% | 5(4) | 1 | 4 | 1(25%) | 18 | 4.5 | 45.8 |
D.ウィリアムス | CB | 100% | 5(4) | 0 | 2 | 2(100%) | 16 | 8 | 100 |
D.ロングJr. | CB | 82% | 6(5) | 0 | 6 | 6(100%) | 92 | 15.3 | 158.3 |
J.フラー | S | 100% | 7(5) | 1 | 2 | 2(100%) | 15 | 7.5 | 97.9 |
T.ラップ | S | 100% | 12(6) | 0 | 5 | 4(80%) | 48 | 9.6 | 146.2 |
上記は主なコーナーバック、セーフティのスタッツ表です。「ターゲット」から右はパスカバレッジの成績で、レイティングはこの選手がターゲットになった時のパスレイティングなので高いほどディフェンスにとって悪いということになります。
ご覧の通りCBジャレン・ラムジー以外は散々な結果となっており、特にデビッド・ロングは6回のパス全てを通され、92ヤードも許しています。その多くがA.J.グリーンとのマッチアップで、67ヤードとタッチダウンを許しています。ロング以外もパスを通されているので、これはラムジーがホプキンスをカバーしている場合でも、マレーが様々なオプションを持っておりパスを通すことができる証拠だと思います。
ラムズのバックスはラムジーを除き比較的若いユニットとなっているため、今季勝ち星を積み重ねられるかはこのバックス陣の成長にかかっていると言っても過言ではありません。新しいDCラヒーム・モリスの手腕が試されます。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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