試合結果
NFC西地区のライバル対決2戦目、2勝2敗のシーホークスのシアトルに乗り込んだこの一戦。2012年以来サーズデーナイトで負けなしと目立つ試合にめっぽう強いシーホークスでしたが、この日はQBラッセル・ウィルソンの指の脱臼もあり17点と低調な攻撃に。一方ラムズのQBマシュー・スタッフォードも指を脱臼して前半はFGの3点のみとスロースタートを切りますが後半巻き返し、シアトルのクラウドノイズをかき消す活躍を見せ見事同地区ライバル対決を制しました。
怪我を押しての活躍
Embed from Getty Images成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | 被サック | レイティング | BadTh | Drops | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
M.スタッフォード | 25/37 | 67.6% | 365 | 9.9 | 1 | 1 | 1-7 | 97.3 | 7 | 1 |
R.ウィルソン | 11/16 | 68.8% | 152 | 9.5 | 1 | 1 | 2-21 | 93.8 | 2 | 1 |
G.スミス | 10/17 | 58.8% | 131 | 7.7 | 1 | 1 | 0 | 78.3 | 5 | 0 |
前半スタッフォードのパスは不安定で、これまでの試合と比べるとオーバースローもいくつか見られました。原因の1つに右手人差し指の脱臼があります。
「ふと見下ろすとちょっと左に寄っていた。そいつを元に戻した。うちのメンバーがいい仕事をしてくれて、ちょっとしたテーピングをしてもらった。温度を保って、プレー続行できた」
https://nfljapan.com/headlines/68912
本人もいつ怪我をしたのかがわからないとのことですが、気づいた時に自分で脱臼した指を元に戻したそうです。まさに鉄人ですね…
脱臼が全てではないと思われますが、その影響は確かにあったと思われます。スタッフォードは前半だけでパス19回中13回成功(68.4%)で131ヤードを獲得しましたが、エンドゾーンでのインターセプトを筆頭に無得点に抑えられたこともあり、今季最も悪い前半の出来だったと言えるでしょう。このインターセプトに関して言えば、WRヴァン・ジェファーソンとのミスコミュニケーションが大きな理由ですが、タイミング的には右に走っていたジェファーソンが左に切り返してから1テンポ遅れて投球動作に入ったので、難しいところではありますがスタッフォードの判断ミスだったかなという印象です。
3rdダウンでのファーストダウン獲得に関しても、この試合までは54%でリーグ2位という好成績でしが、前半は5回中0回と追い込まれてからはボールを前に進められない状態が続いていました(3rdでのパスは2回。3rd&10でランを選択したのも脱臼が関係あるかも)。ただ力強く正確なパスも投げていましたし、パス成功率も今季の平均くらいだったので脱臼がプレーにどれほどの影響を与えていたのかは本人だけが知るところですね。
またWeek4までの試合前半におけるラン/パス比率の平均はラン36.6%(41回)パス63.4%(71回)だったのに対し、この試合ではラン45.7%(16回)パス54.3%(19回)とランの比率が高くなっていました。スタッフォード自身は指の怪我を「あまり影響はなかった」と言っていましたし、マクベイHCもハーフタイムに「It’s OK」とコメントしていましたが、もし本当だったとしても無意識のうちにプレーの選択に影響していたんじゃないでしょうか。比較的ランが多かったWeek2コルツ戦(ラン40%)、Week4カーディナルス戦(同じくラン40%)はいずれも結果的にパス成功率63%台と苦戦していたので、この試合でもパスに違和感があったためラン多めになったというのは考えられそうです。
スタッフォードは前半をパス成功13回(68.4%)131ヤード、0TD、1INTで得点はフィールドゴールによる3点のみという結果で折り返しましたが、後半は一転、パス成功回数こそ下回ったものの、18回中12回成功(66.6%)で234ヤード、1TDを記録。パス1投あたりの平均獲得ヤードは前半が6.89ヤードだったのに対し、後半は13ヤードと2倍ほどになっていました。また試合を通して稼いだパス365ヤードは今季最多の活躍でした。
鬱憤を晴らすWRウッズ
Embed from Getty ImagesマクベイHCが「より多くの機会」を与えたいと話していたように、キャッチ12回で150ヤードを獲得したWRロバート・ウッズがリーディングレシーバーとなりました。それはフェイントでWRクーパー・カップのマークを外すのが狙いかと邪推していたりしたのですが、ストレートにウッズのレシーブ機会を増やしてきましたね。それほど深刻な状況だったということでしょうか笑
Week4のレビューでも書きましたが、これまではパスターゲットがカップに偏重していたのでこれを機にウッズとカップにバランスよくパスを振りつつ、ジャクソンとヴァン・ジェファーソンへのパスも見せていくことで掴み所のないパスゲームを演出できるんじゃないかと期待しています。
カップも7回のキャッチで92ヤードを獲得。これまでの合計523ヤードでリーグトップ3を維持しています。
デショーン・ジャクソンはキャッチ1回でしたが、4点ビハインドで迎えた後半最初の攻撃シリーズ3rd&10と追い込まれた場面で、反撃の口火を切る68ヤードのロングパスをキャッチ。最終的に逆転となるRBダレル・ヘンダーソンのラッシングTDに繋がるので、ここ一番という場面でしっかり役割をこなしました。
残念だったのがターゲット4回に対して1度のキャッチで16ヤードしか獲得できなかったヴァン・ジェファーソン。2Q最初のプレー、エンドゾーン目前でキャッチしていればタッチダウンを奪えたかもしれない場面でパスをドロップしてしまいます。その後1度だけロングパスのターゲットとなりましたが、この日はジェファーソンとの相性が悪いと見たのかそれ以降スタッフォードのターゲットになることはありませんでした。スタッフォードって結構見切りつけるのが早いんでしょうか…?
マット・ゲイの不調
Embed from Getty ImagesKマット・ゲイは昨年途中からラムズに加入しましたが、不安定だった前任のKサム・スローマンとは打って変わって安定感がある頼もしいキッカーです。Week4まではエクストラポイント(XP)成功率100%、FGも9回中8回成功と安定した活躍を見せていましたが、この試合で今季初めてXPを外したうえに、2回のキックオフでアウトオブバウンズのペナルティを献上してしまいました。2回のアウトオブバウンズはリーグで2番目に多い数字となっています。
マクベイHCはこの問題を「風の影響は理由の一つだったと考えている。特にアウトオブバウンズになった時は左から右に拭いた風の影響が強かった」と語っており、ルーメン・フィールドの強い風のせいだと捉えているようです。
しかしその後、ゲイは水曜日の練習を足首の負傷のため制限付きで参加しており、この試合のミスが単なる風の影響なのか、足首の負傷(不調)によるものだった次第では今後の試合に大きな影響がありそうですね。
続出したペナルティと新人CBロシェル
Embed from Getty Imagesラムズがこの試合までに犯したペナルティの数は4試合で12回、罰退は91ヤードとリーグでも突出して低い数字でした。ところがこの試合だけでペナルティ5回で85ヤードも献上。今までの4試合分の罰退分を一気にこの試合で受けてしまったかたちです。この85ヤードのうち半分強にあたる47ヤードは、2Q残り10:07でシーホークスのWRタイラー・ロケットへのロングパスに対して今年のドラフト4巡目の新人CBロバート・ロシェルがパスインターフェアを取られたというものでした。その後2プレイでTDパスを決められてしまうわけですが、この場面で反則していなかったらランアフターキャッチでそのままタッチダウンを取られていたと思うので結果的にはそんなに悪いプレーでもなかったのかなと思いました。
ロシェルは前試合で活躍できなかったデビッド・ロングJrの代わりに今季初めてスターターとして出場しました。パスカバレッジで4回ターゲットとなり、3回で36ヤード、1TDを許しています。タッチダウンを許したこともありレイティングは141.7(高いほど悪い)でしたが、ロケットとD.K.メットカーフというリーグ屈指のデュオを相手に頑張った方じゃないかと思います。
この試合、これまで比較的安定したプレーを見せてきたCBダリウス・ウィリアムスがSテイラー・ラップとの交錯の際に足首を負傷。そのままIRに登録されてしまったので少なくとも3試合は欠場してしまいます。次の3試合はジャイアンツ(1勝)、ライオンズ(0勝)、テキサンズ(1勝)と今季苦戦しているチームが相手なのでウィリアムス不在でも問題はなさそうですが、昨年全敗街道まっしぐらだったジェッツに負けた事実を忘れてはいけません。。。
ウィリアムスの不在でロシェルはより一層の出場機会を得ることになるなるので、このチャンスを掴んで成長してほしいですね。
祝!DTドナルドがフランチャイズ・サック記録更新!
Embed from Getty ImagesDTアーロン・ドナルドはこの日1サックを挙げ、キャリア通算で88.5サックを記録。レナード・リトルが持つフランチャイズ記録87.5を抜きラムズ史上最もサックを挙げた選手となりました!リトルはDEとして12年かけて87.5という数を築き上げましたが、ドナルドは8年目での更新ということで、いかにハイペースでサックを積み重ねているかがわかります。
ただこれは1982年以降に記録されたサックが対象になり、82年以前の記録を遡るとディーコン・ジョーンズの159.5という大記録があります。さすがにこれに追いつくのは不可能と言わざるを得ませんが、ドナルドが試合に与える影響は数字では推し量れないものであり、その功績は誰もが認めるものというのは揺るぎのない事実であり続けるでしょう。
Week6ジャイアンツ戦の簡単なプレビュー
次戦は1勝4敗と負け越しているジャイアンツが相手。両チームとも故障者が心配な試合となりそうです。
成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | レイティング | ラッシングヤード | ラッシングTD | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
M.スタッフォード | 117/172 | 68% | 1,587 | 9.2 | 12 | 3 | 113.2 | 14 | 0 |
D.ジョーンズ | 101/157 | 64.3% | 1,282 | 8.2 | 4 | 1 | 95.6 | 197 | 2 |
ここまで1勝4敗と負け越しているジャイアンツですが、前試合はQBダニエル・ジョーンズが脳震盪、RBセイクワン・バークリーは相手選手と交錯した際に足首を痛め、ライオンズから移籍してきたエースWRケニー・ゴラデイは膝を負傷するなどオフェンスの要が相次いで負傷している最悪の状態です。
ジョーンズの個人成績を見ても、極端に悪いというわけではありませんがタッチダウンパスが4つとかなり少ないのが4敗という戦績に直結していますね。ただ昨年と比べるとインターセプトがこの時期5つ取られていたのが今季は1つととても少ないのは成長の証です。しかし今年もこのままの成績であれば来年は厳しいかもしれないですね
ラムズがマクベイHC政権になってからはジャイアンツに対して2戦2勝と負けなしで、前回ニューヨークに遠征をした時は51対17で大勝しています。今の戦力を見てもこれくらいの差をつけることは可能なんじゃないかと思うので、オフェンス、ディフェンス共に圧倒して欲しいです。
主な怪我人等
ジャイアンツ
前述したように、RBセイクワン・バークリーとWRケニー・ゴラデイという2人のエースがそれぞれ足首と膝の負傷で欠場します。またWRダリウス・スレイトンとWRカダリウス・トニーもクエッショナブルということで、欠場ということであれば誰がパスを取るんだ状態になりそうです…
脳震盪プロトコルを受けていたQBダニエル・ジョーンズは出場できそうなのは明るいニュースですね。
ラムズ
Week5で負傷したCBダリウス・ウィリアムスの欠場が決まっているのみで、他の選手は問題なさそうです。一時DTアーロン・ドナルドなどがクエッショナブルとして登録されていましたが、どうやら問題なさそうで安心しました。
CBダリウス・ウィリアムスの欠場は痛いですが、確実に勝ち星を積み重ねて欲しいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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