試合結果
4勝1敗と好調のラムズを、まだ1勝しか挙げられていないジャイアンツがホームに迎えての1戦。WRケニー・ゴラデイやRBセイクワン・バークリーといったオフェンスのエースを欠いたジャイアンツはラムズディフェンスの前に手も足も出ず、下馬評通りラムズの大勝で幕を閉じました。
ラムズは2Qに一挙28点を奪って前半で試合を決めましたが、最初の2回の攻撃シリーズでは3rdダウンにサックを決められるなどスタッフォードのスロースターターぶりが気になりました。
マシューはやっぱりカップが好き
Embed from Getty Images成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | 被サック | レイティング | BadTh | Drops | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
M.スタッフォード | 22/28 | 78.6% | 251 | 8.9 | 4 | 1 | 2-17 | 128.7 | 2 | 3 |
J.ウォルフォード | 0/2 | 0% | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 5 | 0 |
D.ジョーンズ | 29/51 | 56.9% | 242 | 4.7 | 0 | 3 | 4-41 | 44.7 | 12 | 4 |
スタッフォードがパスで稼いだ251ヤードのうち130ヤードをカップとのコンビで稼いでいます。この試合でもカップへのノールックパスでTDを奪うなどまるで旧知の仲かのようなコンビネーションを見せてくれました。
一方で前の試合でスタッフォードはWRロバート・ウッズのレシーブ機会を増やすというマクベイHCの発言を実現していましたが、この試合でウッズはターゲット5回でレシーブ2回、31ヤード1TDに終わっています。昨年のWeek6終了時点と比べるとレシーブヤード(昨年329ヤード、今年353ヤード)、タッチダウン(昨年2回、今年3回)ともに上回っているのですが、QBがスタッフォードに変わったことによる恩恵はほとんど受けられていないのが現状です。なんせカップはレシーブヤードが昨年374から653へと倍増し、タッチダウンは2回から7回と3.5倍になっていますからね。WRヴァン・ジェファーソンもすでに昨年を超える261ヤード、2TDを記録しているので、相対的に見てウッズが割を食っているのは明確です。
試合後のインタビューでスタッフォードがカップについて聞かれた時、まず他の選手やウッズの名前を出してパフォーマンスを讃えました。彼なりの気遣いだったんでしょうが、やはりカップについて話すときは饒舌になっていたのでカップへの愛が隠しきれていない印象でした。このままカップへの偏重は続くのでしょうか…
ディフェンスでも圧倒
Embed from Getty ImagesジャイアンツはWRケニー・ゴラデイとRBセイクワン・バークリーを欠いていたものの、インターセプト2回のSテイラー・ラップを筆頭に、タックル6回でスクリーンパスにも忍者のような動きで上手く対応したCBジャレン・ラムジー、1.5サックで12.5ヤードもロスをさせファンブルフォースも1回記録したLBレナード・フロイドなどの活躍によりQBダニエル・ジョーンズを圧倒。4回のターンオーバーで封殺し、結果的にラムズオフェンスへの良い流れも生み出しました。
これを受けてラムズディフェンスは、フットボール・アウトサイダーの指標DVOAでリーグ14位から4位に上昇。主力選手が流出したこともありこれまではディフェンスに昨年ほどの脅威がありませんでしたが、少しずつまとまりが出てきたかなと思います。
オボニア・オクロンクオをよろしくお願いします。
Embed from Getty Imagesこの試合活躍した選手で注目したいのが4年目のDEオボニア・オクロンクオ。1サック、1ファンブルフォース、1QBヒットを記録。ダニエル・ジョーンズにプレッシャーを与え勝利に貢献しました。
2018年のドラフト4巡目(全体160位)でラムズに入団したオクロンクオはルーキーイヤーを怪我で棒に振り、その後も目立った活躍はなく昨年は負傷の影響やレナード・フロイド、サムソン・エブカムといったOLBたちの影に隠れて出番があまりありませんでした。今年はエブカムの移籍やスターターOLBジャスティン・ホリンズの怪我、そして9月終わりにIRから復帰したことでWeek4から出場機会が与えられ、この試合で今季初サックを記録しました。
身長は185cmとあまり大きくなく(フロイド、ホリンズ、OLBテレル・ルイスはいずれも196cm)、体格では劣っているのですが、この試合で見せた素早いパスラッシュで先発争いに割って入り、ユニットを活性化してくれることを期待しています。
Week7ライオンズ戦のプレビュー
次戦は今シーズン見逃せない1戦となるであろう、デトロイト・ライオンズとの戦いです。
成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | レイティング | ラッシングヤード | ラッシングTD | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
M.スタッフォード | 139/200 | 69.5% | 1,838 | 9.2 | 16 | 4 | 116.6 | 26 | 0 |
J.ゴフ | 159/238 | 66.8% | 1,505 | 6.3 | 7 | 4 | 86.9 | 73 | 0 |
ここまで今シーズン唯一の全敗チームを率いるのは昨年までラムズのフランチャイズQBだったジャレッド・ゴフ。ライオンズを出てキャリアハイのパフォーマンスを見せているスタッフォードに反して、0勝7敗を喫した新人年以来の連敗街道を驀進するゴフ自身のスタッツをここ数年と比べると、近年課題であったINT率は減少しているのですが、いかんせん勝てない。
成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | レイティング | ラッシングヤード | ラッシングTD | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019年 | 153/246 | 62.2% | 1,727 | 7 | 7 | 7(2.8%) | 80.8 | 13 | 1 |
2020年 | 128/190 | 67.4% | 1,570 | 8.4 | 10 | 4(2.1%) | 101.4 | 39 | 2 |
2021年 | 159/238 | 66.8% | 1,505 | 6.3 | 7 | 4(1.7%) | 86.9 | 73 | 0 |
まず勝てない理由の1つとして考えられるのが、ランを軸にしようとしたオフェンスがうまく機能していないという点。昨年ブレイクしたRBディアンドレ・スイフトとパッカーズから移籍してきたRBジャマール・ウィリアムスのランを軸としたオフェンスを構築しようとしているようですが、ドラフト1巡目で獲得したOTぺネイ・スウェルが今のところバスト(Bust=大学時代の成績から期待される成績を残していない選手)という評価を受けているなど、改善されたと思われたOLが苦戦。スターターの選手2人が怪我で欠場しているということもありますが、その結果ランが出ないうえ、ゴフへのプレッシャーも高く、ゴフのパス試投あたりのサック率は過去4年で4.5%だったのに対し、ライオンズに来てからは5.9%に上がっているなどOLのプロテクションの庇護下にいるとは言えない状況となっています。ちなみにスタッフォードの過去4年間のサック率は6.7%だったのに対し、今年は2.9%と劇的に低下しています。サック率はQBがパスを投げるまでにかかる時間にも左右されるのでこれだけでライオンズのOLが脆弱とは言えませんが、ゴフにかかるプレッシャーも昨年の20.4%から24.9%に上昇しているため、総合的に見てもやはり良いOLとは言えなさそうです。RBコーチとしての実績を持つ、前チャージャーズHCアンソニー・リンが攻撃コーディネーターにつきましたがこれも奏功していないようですね。
2つ目の理由はレシーバーの層の薄さ。ラン主体に切り替えた代償なのか、エースレシーバーはTEのT.J.ホッケソンが担っており、ここまでレシーブ311ヤードで2TDを記録していますが、その次はRBのスイフトの295ヤード1TDと、レシーブ上位2人がWR以外という異例の事態。期待されていた2年目のWRクインテズ・シーフスがIRに入っていたりと不運も重なりパスターゲットが弱い状況となっています。
そして3つ目はゴフ自身のパフォーマンス低下。前述のように決して頼もしいと言えないOLやレシーバー陣に囲まれているというハンデはありつつも、まあパスが甘い。ゴフの最後の砦だったショートパスでもミスが多く、見ていてどうやったら勝てるのかがわからないというのが正直な感想です。またゴフのパスが信用されていないのか、ショートパスやRBへのスウィングパスが多い印象で、結果全然前にボールを進められないというのも問題なんじゃないかと思います。
あとはスナップミスとかQB変更に伴う初歩的なミスが目立って残念な結果になっているというのが感想です。
そんなこんなでESPNによる試合前の結果予想では86.4%の確率でラムズ勝利という予想が出ています。これに関しては…まあ同意ですね。今まで両チームの試合を見てきて、ライオンズが勝てる要素が見当たりません。今までゴフを応援したい気持ちでライオンズの試合も観てきましたが、これで最後になるかなと思っています。それくらいライオンズの試合がおもしろくない…
一方でラムズのDTアーロン・ドナルドは他のどのチームよりもライオンズを得意としており、これまでのキャリアの中でライオンズに対して1試合平均2サックを挙げています。今シーズンは例年と比べると少しパフォーマンスに元気がないように見えるため、得意とするライオンズ戦で爆発してシーズンに弾みをつけて欲しいですね。
主な怪我人等
ライオンズ
ライオンズはこれまででOUT、もしくはIRに入っている選手が16人います。前述のようにOLの主力選手で今オフに大型契約を結んだCフランク・ラグナウも含まれていたりと悲惨な状況。
また出場はすると思いますが、T.J.ホッケソンとディアンドレ・スイフトがクエッショナブルとなっています。この2人が欠場した場合、もう不戦敗にした方がいいんじゃないでしょうか…
ラムズ
ラムズはTEジョニー・ムントとRBジェイク・ファンクが負傷でIRに登録されました。スターターではないにせよ、じわじわと戦力が削がれて行っていますね。ムントは主にブロックで貢献してきましたし、ファンクもリターナーやRBダレル・ヘンダーソン不在の時に出場したりしましたからね。
またRBソニー・ミシェルも肩の負傷でクエッショナブルとなっています。そのためWeek7のほとんどのスナップはヘンダーソンでいくと思われます。
今年1番の話題となったと言っても過言ではないドラフト全体1位同士のトレードという物語がいよいよ結末を迎えます。大方の予想通りラムズの圧勝で終わるのか、それともゴフが古巣に意地を見せるのか、非常に楽しみな試合ですね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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