試合結果
タイタンズ強かったしスタッフォードダメダメだった…
6勝2敗でAFC南地区首位を走るタイタインズをホームに迎えた1戦。ラムズがFGで先制するも、サックに次ぐサックでQBマシュー・スタッフォードは何もできないどころかインターセプトを2つも取られてしまうなど苦戦し、21対3で前半を折り返します。
後半は敵陣まで攻め込むも決定力に欠き、なんとかタッチダウンパスは取るも28対16で終戦。ラムズは今季2敗目を喫し、QBカイラー・マレーなど主力選手を大幅に欠いたカーディナルスが49ersに勝利し8勝目を飾ったため、ラムズは地区2位に沈みました。スタッフォードは背中の怪我などいろいろ抱えていたようですが、どこまで影響があったのか…
敗因いろいろ
ラムズはリーグNo.1のRBデリック・ヘンリーを欠いたタイタンズに今季2敗目を喫しましたが、見ていて感じた敗因は下記かなと思いました。
- 素晴らしかったタイタンズのパスディフェンス
- 堅牢なラムズOLが崩壊したパスラッシュ
- 強気なプレーコールと低調なスタッフォードのパフォーマンス
- 今季最多のペナルティ
素晴らしかったタイタンズのパスディフェンス
Embed from Getty Imagesまずはタイタンズディフェンスを称えるべきですね。とにかくパスカバレッジが素晴らしかった。ショートパスへの警戒は薄かったものの、ミドル、ロングレンジのパスターゲットはよくカバーされていたので、スタッフォードはパスターゲットを探すのに苦労していました。その結果スタッフォードのこの試合のIAY/PA(パスの成否に関わらず、パスを投げた際にパスターゲットとなったレシーバーがどれくらいの深さにいたかの平均)は5.1と今季最低を記録。Week8までの平均が8.8だったため、この試合ではいかにパスを遠くへ投げられなかったかがわかります。
こちらの画像はNext Gen Statsさんのデータを元に再編集したパスチャートですが、ロングパスと言えるくらい深い位置へは試投すら無く、また3rdダウン&ロングで多用する左サイドラインぎわへのミドル〜ロングも、この試合では研究されていたのかインコンプリートとなっていますね。
堅牢なラムズOLが崩壊したパスラッシュ
そしてタイタンズはパスラッシュも驚異的でした。パスラッシャーのDEデニコ・オートリーが1.5サック、19年の1巡目DTジェフリー・シモンズが3サックを上げるなど、チーム合計で5サックを挙げて41ヤードも後退させました。
ラムズOLが前節までにスタッフォードに許したサックは7回でサック率は2.6%とリーグ1位の数字を残していました(2位はバイキングスのQBカーク・カズンズで、8試合でサック10回、3.2%)。ところがこの試合では前述の通り今季最多の5サックを許し、サック率は3.6%まで上がってしまいました。
またプレッシャーがかかった回数は12回(Week8までの平均は4.25回)、QBヒットは5回(同平均1.87回)と大きく崩されました。それでもOLの成績はいまだリーグ上位であることには変わりませんが、ここまでパスプロテクションで絶対的な安定感を誇っていたラムズOLが崩されたのは衝撃的でした。その中でもLTアンドリュー・ウィットワースはプレッシャー、QBヒットともに0回とOLで唯一活躍しました(自陣ゴールライン付近でのインターセプトの際のQBヒットはウィットワースに付けられていないみたいですね)。
強気なプレーコールと低調なスタッフォードのパフォーマンス
Embed from Getty ImagesとはいえOLが一方的に悪いかというとそうでもなく、パスターゲットが見つからないことからスタッフォードのポケットでの時間が長くなってしまったという点、そしてあわやピック6を喰らいかけたインターセプトの場面など、強気なプレーコールが裏目に出たかたちでしたね。マクベイHCも4Q残り6:39、4th&1の場面でランではなくWRヴァン・ジェファーソンへのパスを選択したのを例に出して、焦りからのプレーコールがあったと語っています。
この試合ではRBダレル・ヘンダーソンが平均5ヤードを走っており、ランが出ていたにも関わらず焦りからパスに偏ってしまったのもよくなかったですね。
そういったことから、この試合はスタッフォードにとって今季最低のパフォーマンスでした。試合終了間近にかろうじてタッチダウンを決めたことで0TDだけは免れましたが、パス獲得平均は6.1ヤードと今季最低(前節までの平均が9.1)。レイティングも71.0で、ガベージタイムのタッチダウンがなければもっと悲惨なことになっていました。
成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | 被サック | レイティング | BadTh | Drops | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
M.スタッフォード | 31/48 | 64.6% | 294 | 6.1 | 1 | 2 | 5-41 | 71 | 10 | 1 |
R.タネヒル | 19/27 | 70% | 125 | 5.3 | 1 | 1 | 3-18 | 79.7 | 2 | 2 |
今季最多のペナルティ
ペナルティは合計で12回、115ヤードもロスしました。特に4Q残り5分ごろ、まだ逆転の目が残されている時点で、4thダウンまで追い込みながらDTアーロン・ドナルドによるラフィンザパサー、その後すぐにOLBオボニア・オクロンクオによるラフィンザパサーと立て続けに15ヤードを献上し、結果的にタッチダウンを奪われ試合が決まりました。これは本当にもったいなかった!
また2Q残り8分32秒、11点差を追いかける2nd&2の場面でCBジャレン・ラムジーによる7ヤードのスーパーロスタックルで救われたかと思いきや、直後にLBテレル・ルイスによるニュートラルゾーン・インフラクションでほぼなかったことになり、その後もCBドンテ・ディーヨンによるフェイスマスクの反則などもあり、このシリーズでも結局タッチダウンを奪われ点差を広げられてしまいました。
それにしてもこのタックルは素晴らしかったですね。リバースに素早く反応し、ブロックを上手くかわして思い切りの良いタックルを決めました。普段のパフォーマンスはもちろん安定していますが、ここぞという時にビッグプレーを生み出してくれるのはさすがラムジーですね。
NFL Penaltiesによると、ラムズが今季犯したペナルティは試合平均で4.8回、44ヤードのロス(共にリーグ4位)とのことなので、いかにこの試合ペナルティが多かったかがわかります。ちなみにこの数字はこの試合を含めたものなので、Week8までであればもっと低い数字でした。
今季はトーンティング(ターンティングとも。悪質な暴言や侮辱行為)の取り締まりが厳しくなったり、ラフィンザパサーも厳しくなった印象があります。そんな中でペナルティの少なさが今までの好調の要因の1つとしても挙げられるので、この試合115ヤードのロス、そしてペナルティのタイミングの悪さは敗因の大きな理由と言えますね。
ここまでいくつか敗因を挙げましたが、最も大きな敗因はレシーバーが徹底マークされていたことなんじゃないかと思います。レギュラーシーズンも折り返し、マクベイHCのオフェンススキームも研究されてきている可能性があるため、次戦以降オフェンスが今までのような破壊力を維持できるのか注目ですね。
Week10、49ers戦のプレビュー
次戦は同地区でここまで3勝5敗でNFC西地区最下位の49ers戦です。
成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | レイティング | ラッシングヤード | ラッシングTD | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
M.スタッフォード | 219/321 | 68.2% | 2,771 | 8.6 | 23 | 6 | 111 | 37 | 0 |
J.ガロポロ | 139/213 | 65.3% | 1,754 | 8.2 | 8 | 5 | 93.5 | 33 | 3 |
相手はライバルの49ersですが、今季はQBジミー・ガロポロが比較的健康であるにも関わらずいまいち波に乗れていない様子。そろそろドラフト全体3巡目のトレイ・ランスを本格投入してくるか、あるいは今季はシステムの習熟に徹するのか。とはいえ2019年にはチームをスーパーボウルまで導いた実績があるので油断はできない相手です。
最も警戒しなければいけないのはもちろんリーグトップレベルのTEジョージ・キトル。キャッチ力となかなか倒れない粘り強さで繰り出すランアフターキャッチはかなりの脅威です。
49ersはここ数年安定してディフェンスが強いチームで、今季もここまで平均喪失ヤードは338.1ヤードでリーグ8位ですが、平均失点は25.3点で26位と下位に沈んでいます。喪失ヤードが少ない一方で失点が多いというのは(自陣でのターンオーバーなど理由はいろいろあると思いますが)、レッドゾーンでの失点を防げていないということもあると思います。レッドゾーンでの決定力の高いスタッフォードが得点を決め切れるのか、注目ですね。
主な怪我人等
49ers
前節から11月14日までに7人がアウトとなっていますが、主要選手だとTマイク・マクグリンチーとWRモハメド・サヌーくらいでしょうか?ただ49ersはラン主体のチームなので、マクグリンチーの不在は結構大きいんじゃないかと思います。
ラムズ
WRロバート・ウッズが練習中にACL断裂でシーズンエンドとなりました。これはラムズオフェンスにとってかなりの痛手となりますが、ここにきてOBJことWRオデル・ベッカムJrの獲得が価値あるものになりそうですね。OBJ必要か?とか思っていた自分が恥ずかしいです。。。とはいえ次戦出場するかはまだわからないとのことなので、苦戦を強いられる可能性があります。
またTEジェイコブ・ハリスも膝の負傷でIR入りしてしまったので、WR陣の薄さは依然気になりますね。
LBボン・ミラーの出場もクエッショナブルとのことなので、新戦力が揃う日はいつになるのでしょうか…
相手は地区最下位に沈んでいる49ersですが、怪我人続出で先行き不安なラムズは勝利することができるのか。
最後までお読みいただきありがとうございました!
次週のレビューはこちら
コメント