試合結果
ついに始まったプレーオフ初戦。ラムズは同地区のライバル、アリゾナ・カーディナルスをホームのSoFiスタジアムに迎えての一戦となります。
カーディナルスの攻撃から始まった試合は終始ラムズディフェンスが圧倒。カーディナルスオフェンスを完全に押さえ込むと、ラムズはQBマシュー・スタッフォードからWRオデル・ベッカムJr.へのTDパスで先制。続け様にスタッッフォード自らスニークで押し込んで0対14と差を広げます。その後もラムズディフェンスがQBカイラー・マレーに襲いかかり、2連続インターセプトでピック6も奪い0対21で前半を折り返します。
後半はカーディナルスも反撃しますが、得点はRBジェームズ・コナーのTDランとKマット・プレイターのFGによる11点のみで、終わってみればカーディナルスの攻撃シリーズ12回のうち、8回を3プレー以内に抑えました。一方でラムズは後半もWRクーパー・カップへのTDパスとプロボウル選出のKマット・ゲイによる2つのFGで得点を重ね、11対34でプレーオフ初戦を勝ち抜きました。
スタッフォードはプロ13年目、4度目のプレーオフで初勝利を飾りました。一方でマレーは3年目で初めてのプレーオフということもあり、本来のパフォーマンスを見せることができなかったか。マレーはまだ3年目ですし、成長度合いを見ると5年目オプションが行使されるのは確実だと思うので、来年はこの悔しさをバネにさらなる脅威になること必至ですね。
スーパーボウルに向けて役者は揃った
Embed from Getty Images成功/試投 | 成功率 | ヤード | 平均 | TD | INT | 被サック | レイティング | BadTh | Drops | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
M.スタッフォード | 13/17 | 76.5% | 202 | 11.9 | 2 | 0 | 1-7 | 154.5 | 1 | 3 |
K.マレー | 19/34 | 55.9% | 122 | 4 | 0 | 2 | 2-15 | 40.9 | 10 | 1 |
この試合ラムズオフェンスは理想的と言ってもいいほどうまく機能しました。
スタッフォードは獲得パスヤードが202ながらパス成功率76.5%、2TDでレイティング154.5を記録。特に大きかったのはシーズン中盤から頻発し、Week9以降試合平均1.4回も取られていたインターセプトを0に抑えられたことです。
インターセプトを減らせたシンプルな要因の1つは、パスを投げなかったから。
スタッフォードは今季1試合平均35回程度のパスを投げていたにも関わらず、この試合投げたのは17回と今季最少どころか平均の半分以下。パス18回(OBJによるパス含む)に対してラン38回というラン偏重のオフェンスから見ても、いかに投げる必要がなかったのかがわかります。
この最大の要因は、なんといっても2つのインターセプトによるターンオーバーを含むディフェンスの奮闘と、スペシャルチームによる良いフィールドポジションの確保でしょう。いいポジションからオフェンスを開始し続けることができたことでそもそもプレー自体が少なくて済みますし、最悪FGという選択肢があるので無理をせずにラン主体で安全に攻められたんじゃないかと思います。
ということでまずはディフェンスからチェックしていきます。
引退から復帰のウェドルや控えのセーフティ陣
この試合セーフティのジョーダン・フラーがここにきて足首の怪我でシーズンエンド、同じくSテイラー・ラップも脳震とうで出場できず。2019年シーズン以来引退していたエリック・ウェドルと契約をするほどの人手不足で、控えのニック・スコット(スナップ100%)がフル出場、同じく控えのテレル・バーゲス(同66%)とウェドル(同34%)でスナップを分けるかたちで出場しましたが、特にスコットは2Q残り8:15ほどでカーディナルスのレシーバーA.J.グリーンへの絶妙なタックルで試合に貢献しました。結果的にセーフティ陣が許したパスはバーゲスの7ヤードのみ。というか、パスターゲットになったのが2人合わせて4回とほとんどボールが飛んできませんでした。
それはこの試合の最大の勝因となったパスラッシュが理由となっています。
試合を支配したパスラッシュ
Embed from Getty Images試合を支配したのはラムズが誇る最強のパスラッシャー陣。QBカイラー・マレーに対して与えたプレッシャーは11回で全体の29.7%(シーズン平均は20.7%)にものぼり、カーディナルスのパスプロテクションを崩壊させました。
DTアーロン・ドナルドがダブルチームを引き受けると、NTグレッグ・ゲインズがタックル4回(ソロ1回)、サック0.5回を記録。LBボン・ミラーがスナップ59%での出場ながらソロタックル6回、サック1回、そしてロスタックルは3回を記録し、カーディナルスに強力なプレッシャーを与えることに成功しました。
その結果、マレーは安定してパスを投げることができず3アウトチェンジを繰り返すことになり、パスでのファーストダウン獲得率は19.4%と、シーズンの平均33.6%とからは程遠い数字となりました。
帰ってきたエイカーズ、だけどまだまだこれから
Embed from Getty Images一方オフェンスでは、RBキャム・エイカーズが帰ってきたことがまず一つ大きいでしょう。エイカーズは開幕前のアキレス腱断裂の怪我からの復帰2試合目にして最長15ヤードのランなど、前半は印象的なランを見せることに成功しました。とまあ結構走っていたイメージなんですが、スタッツを見るとエイカーズはこの試合ラン17回で55ヤード(平均3.2)と、試合全体を通すと数字としては物足りない。ただ試合を傍観している方がそうなので、対戦しているカーディナルスの選手たちから見るともっと脅威を感じたんじゃないでしょうか。
またエイカーズのランもありながら、前半はやはりRBソニー・ミッシェルがよく走りました。ミッシェルは前半最長35ヤードのランを含む7回のランで44ヤード(平均6.3)を記録。
今まで、特にシーズン中盤以降はレシーバーがディフェンスを引き離せず、スタッフォードが厳しいところにパスを投げざるを得ないため、結果的にインターセプトされるという状況が多かったのですが、この2人がよく走った、または走る印象を与えたことで、特に後半はパスが通りやすくなったため全体的に効率的なオフェンスを展開することができました。
ちなみにエイカーズは3Qの終わりごろ、カーディナルスのSブッダ・ベイカーと接触した後、ベイカーが倒れているのを見てそのままでいるようジェスチャーを行ったことがカーディナルス選手の怒りを買いました。ただすぐに異変に気付いたエイカーズは振り返り心配そうな表情を見せています。エイカーズもベイカーの容体を把握していたわけではなく、悪意があったわけじゃないのでカーディナルスファンの方、多めに見てやってください…
OBJ!OBJ!OBJ!
Embed from Getty Images今シーズンはWRクーパー・カップのレシーブヤードに注目が集まるほどカップにパスが集中しましたが、それゆえに中盤以降はプレーが読まれるといった弊害も出ていました。そんな中でWRロバート・ウッズのシーズンエンドが重なり一時はどうなることかと思いましたが、WRオデル・ベッカムJr.がチームを支えてくれています。
Week10の加入以降、試合後半の大事な場面でターゲットになりタッチダウンを決める働きをしてきましたが、この試合では前半からターゲットとなることでマークを分散。先制となるタッチダウンレシーブを決めてチームに勢いをつけました。
また3QにはダブルパスでRBキャム・エイカーズへの40ヤードパスを決めるなど、大きなインパクトを残しました。今季初どころか、ダブルパスなんて近年記憶にないくらいラムズでは珍しいプレーだったので、これにはテンション上がりましたね。
スペシャルチームも活躍
ディフェンス、オフェンスともに素晴らしい活躍をしましたが、スペシャルチームの活躍も忘れてはいけません。
最長距離や平均距離で厳しいシーズンを送ったパンターのジョニー・ヘッカーですが、この試合蹴った5回のパント全てを20ヤード以内に沈め、1ヤード地点への完璧なパントを含む4回を10ヤード以内に決めるなど完璧なプレーを見せてくれました。
またKマット・ゲイはプロボウルに選ばれるシーズンを過ごしましたが、この試合でも2回中2回成功で完璧にFGを決める安定感を見せています。もう当たり前になりすぎてブログで書くこともありませんが、やはりこの安定感はラムズにとって重要な戦力となっています。
スタッフォードのスーパープレイ
下の動画は3Q残り3:25、WRヴァン・ジェファーソンへのロングパスを通した場面を編集したものですが、カーディナルスのSジャレン・トンプソンがバック走中に一瞬前に出ようとしてしまい、これによってジェファーソンにつくのが遅れてしまった結果、41ヤードのロングパスが通ったというプレー。
これはエイカーズのランの印象があったことや、それまでにエイカーズへのパスも行われていた前提があるため、プレーアクションによりエイカーズのランまたはパスという選択肢が考えられたことも大きいと思いますが、実はスタッフォードがパスを投げる直前までWRクーパー・カップに目線をやっていたことでトンプソンの判断が遅れたというスタッフォードの妙技が生んだプレーでした。
バッカニアーズ戦に向けて好材料と懸念
好材料
次戦はWeek3で勝利したバッカニアーズが相手ですが、ラムズにとって好材料となるのはNTセバスチャン・ジョセフ・デイ、CBロバート・ロッシェル、RBダレル・ヘンダーソンがIRから戻ってくることです。
またバッカニアーズのWRクリス・ゴッドウィンの欠場や、数試合前にWRアントニオ・ブラウンがリリースされたことでレシーバー陣が手薄になっているようなので、セーフティが薄いラムズにとってだいぶ有利に働くのではないでしょうか。
懸念
一方で懸念としては、脳震とうでカーディナルス戦を欠場したSテイラー・ラップと試合中に怪我で途中交代したLTアンドリュー・ウィットワースが出場できないという点です。
そのためセーフティは引き続きニック・スコットとテレル・バーゲス、そしてエリック・ウェドルでカバーしなければいけません。そのためバッカニアーズ戦でもいかにQBトム・ブレイディにプレッシャーをかけられるかが鍵になりそうです。
ウィットワースはオフェンスの大黒柱ですが、おそらくこの試合でもジョセフ・ノートボーンあたりが出てくるんじゃないかと思います。
事前のスポーツキャスターたちの予想だとほぼ五分五分という試合展開になりそうということで、熱い試合になること必至なディビジョナルラウンド!なんとしても買ってスーパーボウル出場に王手をかけてほしいです!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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