【ラムズ HC紹介】ショーン・マクベイHC

プロフィール

1986年1月24日　オハイオ州デイトン出身

2017年に当時30歳というNFL史上最年少の若さでラムズのヘッドコーチに就任。天才的とも称されるスキームと休日にも試合を見て研究するほどフットボールが好きという情熱で一躍トップクラスのコーチになりました。

マリスト高校
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 マイアミ大学
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 ワイドレシーバーコーチ・アシスタント（バッカニアーズ）
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 オフェンスコーディネーターアシスタント（ユナイテッド・フットボール・リーグ、フロリダ・タスカーズ）
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 タイトエンドコーチ・アシスタント（ワシントン・レッドスキンズ）
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 タイトエンドコーチ（ワシントン・レッドスキンズ）
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 オフェンスコーディネーター（ワシントン・レッドスキンズ）
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 ヘッドコーチ（ロサンゼルス・ラムズ）

学生時代

マクベイは高校時代にクォーターバック、コーナーバックとして4年間スターターでプレーし、身長はありませんでしたがスピードと頭脳を武器に高校通算ラッシング2600ヤード40TD、パス2500ヤード18TDで26勝3敗とモバイルQBとして活躍しました。

また当時から攻撃的な戦術を好んでいたようで、ウィッシュボーン（QBの後ろに3人のRBがY字に配置されるフォーメーション）からQBへのスナップ後、1人のRBがラインに突撃（ワム）し、残りの2人がそれに続き片側のサイドにまとまって走ることで、3人のRBを囮にしてディフェンダーを引き寄せ、ハンドオフフェイク後立ち止まってフリーになったQB（ネイキッド＝裸の状態）が空いたサイドに一気に走り込む「ワム・ネイキッド」というプレイを大事な場面で選択する大胆さを持っていたようです。

マイアミ大学に進学後はWR、パントリターナーとして活躍。大学内で優秀な成績を残した様々な種目の選手に送られるマイアミ・スカラシップ・アワードも受賞しましたが、NFLから声がかかるほどの成績を残すことはできず、プロ入りは叶いませんでした。

大学卒業後はコーチの道へ

大学卒業後すぐに、当時バッカニアーズのヘッドコーチだったジョン・グルーデンがワイドレシーバーのアシスタントコーチとしてマクベイを雇ったことから彼のNFLでの人生がスタートしました。なぜそんなすぐにNFLでの働き口が見つかったかというと、彼の祖父であるジョン・マクベイが関係しています。ジョン・マクベイが昔デイトン大学でヘッドコーチを務めていた時にジム・グルーデンをスタッフとして雇うのですが、このジムというのがジョン・グルーデンのお父さんなのです。ちなみにショーン・マクベイの父、ティム・マクベイもフットボールを生業としており、ティムをインディアナ大学で雇ってくれたのがジム・グルーデンでした。ただ同じ時代にショーン・マクベイ、ジョン・グルーデンの二人がNFLでヘッドコーチを務めているというのは、縁故による採用だけでなくフットボールへの情熱と才能を持ち合わせているからこそですね。

話を元に戻しますが、ショーン・マクベイは22歳でグルーデンの元で働き始めるもグルーデンの解雇と共に1年でその職を追われてしまいます。その後、現在はなくなってしまったユナイテッド・フットボール・リーグ（UFL）のフロリダ・タスカーズというチームのオフェンスコーディネーターであるジェイ・グルーデンの元でアシスタントを務めます。このジェイ・グルーデンはジョン・グルーデンの弟というのですから、いかにマクベイ家とグルーデン家の結びつきが強いかというのが窺い知れます。

その翌年、マクベイはワシントン・レッドスキンズ（当時）のタイトエンドコーチのアシスタントとして雇われます。そこから評判を急激に高めた結果、翌年にタイトエンドコーチに昇進、その3年後の2014年にジェイ・グルーデンが同チームのヘッドコーチとしてNFLに復帰したのを機にオフェンスコーディネーターとなりました。就任後は着実に成果を上げ、レッドスキンズでの最終年（2016年）には獲得ヤードでリーグ3位にまで導いています。またレッドスキンズ時代を語るのに欠かせないのがドラフト4巡目で指名され控えQBだったカーク・カズンズをフランチャイズQBにまで成長させたことです。2013年まで出場機会さえあまり与えられなかったカズンズですが、当時のエースQBロバート・グリフィン3世の怪我を機に出場機会を与えられ、2015年には4166ヤードを投げレーティングが101.6、2016年は4917ヤード、レーティング97.2と素晴らしい成績を残しました。

NFL史上最年少の30歳でヘッドコーチに

革新的と言われるオフェンス・スキームやカズンズの才能を開花させた手腕が評価され、マクベイは30歳259日という若さでNFL史上最年少のヘッドコーチに就任します。

マクベイが就任する前のラムズは10年連続シーズン負け越し、最後に勝ち越したのは14年前とまさに弱小チーム。前年の2016年も総獲得ヤード4203（平均262.7）、総得点224（平均14.0）でいずれもオフェンスリーグ最下位。そのほかの攻撃カテゴリーでもほぼ最下位で4勝12敗という最低なシーズンを送りました。またその年のドラフト全体1巡目で指名されたQBジャレッド・ゴフにとっても悲惨なシーズンでした。先発した7試合すべてで敗北。レーティングも63.6とルーキーイヤーとはいえ惨憺たる結果に、ラムズはゴフを指名するために1巡目指名権を含む計6つの指名権をテネシー・タイタンズに譲渡したことを早くも後悔し始めていました。

マクベイに再建への大きな期待がかかった2017年、蓋を開けてみればラムズは総獲得ヤード5784（平均361.5、10位）、総得点478（平均29.9、1位）、11勝5敗で地区優勝を果たし、就任1年目から期待以上の結果を残しました。またその素質すらも疑問視されていたゴフも、3804ヤードを投げてレーティング100.5、タッチダウン28、インターセプト7という安定した成績を残してプロボウルにも選出されました。

ゴフの他にも当時燻っていたRBトッド・ガーリーもラン・パスデュアルスロットで起用するなどしてラッシングヤード1305、レシービング788の計2093ヤードを稼ぎオフェンスMVPを受賞。DTアーロン・ドナルドもサック11回を記録し初のディフェンスMVPを獲得するなど、選手達の才能を開花させラムズを1年で強豪チームへと成長させました。

人柄・エピソード

マクベイの人となりを表すキーワードとして挙げられるのが「情熱的」「リーダーシップ」「謙虚」の三つです。

大学のチームメイトであるミッキー・マンはマクベイを熱心で野心的であり「オフのスイッチがない」と紹介しています。趣味はアメフト観戦や他のコーチの教えや戦術について学ぶことだそうで、休日も動画を見て分析するなどアメフト漬けの生活にパートナーのベロニカさんにも呆れられるほど。それほどアメフト愛が強く、仕事熱心なんですね。

リーダーシップに関しては殿堂入りしている元イーグルスのSブライアン・ドーキンスが「マクベイは他の誰よりも一生懸命働く。そして組織の誰よりも高い基準で責任感を持つことで、プレイヤーはそれ応じて彼についていくんだ」と述べています。また毎朝4時30分頃までには施設に到着し、他の誰よりも帰るのが遅いという話もあるほど。例えば日本のプロ野球の監督は元プロ以外なれないと言っても過言ではありませんが、NFLではノンプロからヘッドコーチになることもままあります。そのためマクベイのようにノンプロのHCは特に選手たちから信望を得るために一貫したリーダーシップが必要ですが、誰よりも熱心に、情熱を持って働いているからこそ選手たちは彼に従い、そして結果を出しているんですね。またマクベイは自分にも他人にも求めるレベルが高いことが知られており、ラムズを出た選手がそれについて不満を漏らすこともありますが、感情的に選手を怒ったり非難することはないようです。純粋に試合に勝つために本気で向き合っていると言えるでしょう。

そして最後は「謙虚」について。マクベイ自身、自分より賢い人々に囲まれることで自分や組織を成長させることができると考えています。また、「自分の過ちを認め、知らないことは知らないと認める。自分が知らないことをさも知っているかのように振る舞うのは愚かなこと」という認識を持っているようです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、偉くなるほど自分の過ちや無知を認められなくなるもの。マクベイは30歳という若さでアメリカで最も注目され、毎週のように批評の対象となるポジションに就きました。経験は他のヘッドコーチに劣りますが、だからこそ貪欲に知識を吸収することで結果を残し、すぐに一流のコーチとなったと言えるでしょう。