【テスト導入】ブログの更新通知をはじめました(PC/Android)

【2021戦力分析】LAラムズ ポジションごとの戦力分析

2021LAラムズ各ポジション戦力分析ラムズ

ロースターカットを終え待ちに待った開幕が迫ってきたので、各ポジションごとにラムズの戦力をどこよりも詳しくわかりやすく!(願望)確認していきたいと思います。

基本的には昨シーズンのスタッツを見ながら現有戦力のおさらいを行い、定性的な部分は海外のニュース記事などの評論を参考にしていきます。そして各ポジションの最後にはA~Dで主観的に評価をしてみましたので参考にしていただければと思います。

またこれを書いている間にも刻一刻と戦力補強が行われていくと思うので、拾い切れていない情報などがあるかもしれませんがご容赦いただければ幸いです。

デプスチャート

まずは全体のデプスチャートから見ていきます。今年はジャージナンバーの変更が多くあったので番号と一緒に記載しています。試合中「このナンバーの選手誰だ?」となった時にブラウザのページ内検索機能を使ってもらえればかんたんに確認できるので、より一層試合を楽しんでいただけるかと思います。

このデプスチャートはラムズの公式サイトを参考に記載しています。

オフェンス

スターター2nd3rd4th
QB#9 マシュー・スタッフォード#13 ジョン・ウォルフォード#16 ブライス・パーキンス
RB#27 ダレル・ヘンダーソンソニー・ミッシェル#25 エグゼイビアー・ジョーンズ
#34 ジェイク・ファンク
WR#2 ロバート・ウッズ#81 ベン・ショーロニク
WR#10 クーパー・カップ
WR#1 デショーン・ジャクソン#12 ヴァン・ジェファーソン#15 トゥトゥ・アトウェル
TE#89 タイラー・ヒグビー#82 ジョニー・ムント#88 ブライセン・ホプキンス#87 ジェイコブ・ハリス
LT#77 アンドリュー・ウィットワース#70 ジョゼフ・ノートボーン#72 トレメイン・アンチュラム
LG#73 デビッド・エドワーズ
C#55 ブライアン・アレン#65 コールマン・シェルトン
RG#63 オースティン・コルベット#71 ボビー・エバンス
RT#79 ロブ・ヘブンスタイン#68 AJ ジャクソン

ディフェンス

スターター2nd3rd4th
DE#94アショーン・ロビンソン#92 ジョナ・ウィリアムス
NT#69 セバスティアン・ジョセフ#91 グレッグ・ゲインズ#95 ボビー・ブラウン
DT#99 アーロン・ドナルド#96 マイケル・ホイト
OLB#58 ジャスティン・ホリンズ#45 オボニア・オクロンクオ#52 テレル・ルイス
OLB#54 レナード・フロイド#48 クリス・ギャレット
ILB#51 トロイ・リーダー#32 トラビン・ハワード#50 アーネスト・ジョーンズ
ILB#41 ケニー・ヤング
LCB#11 ダリウス・ウィリアムス#31 ロバート・ロシェル
RCB#5 ジャレン・ラムジー#22 デビッド・ロング
SS#4 ジョーダン・フラー#33 ニック・スコット#36 J.R.リード
FS#24 テイラー・ラップ#26 テレル・バーゲス#23 ジュジュ・ヒューズ

スペシャルチーム

スターター2nd3rd4th
P#6 ジョニー・ヘッカー
K#8 マット・ゲイ

コーチ陣

  • HC:ショーン・マクベイ
  • OC:ケビン・オコネル
  • DC:ラヒーム・モリス

HCは5年目のショーン・マクベイ。ハードワーカーとして知られ、就任当時低迷していたラムズを一躍常勝チームに押し上げました。HCとしての通算成績は43勝21敗で大きく勝ち越していることが彼の手腕を証明しています。マクベイHCに関しては下記で詳しく書いていますので興味があればご覧ください。

OCのケビン・オコネルはラムズで2年目。DCのラヒーム・モリスは昨年までファルコンズのDCと臨時のHCを担当していました。

オフェンス戦力

ここからはオフェンスの戦力を見ていきます。2020年シーズンのラムズのオフェンスは総獲得ヤードが6,032(11位)で、内訳はパス4,014ヤード(13位)、ラン2018ヤード(10位)とボールを前に進めるという点では比較的上位につけましたが、得点は372(1試合平均23.3点)で23位と決定力に欠けるシーズンでした。

そんなオフェンスの戦力変動ですが、QB以外はあまり大きな変化はなく横ばいといった印象。それでは各ポジションごとに詳しく見ていきましょう。

クォーターバック

出場パス成功/試投成功率YdsTDINTレイティング
マシュー・スタッフォード16339/52864.2%4,084261096.3
ジョン・ウォルフォード122/3857.9%2310164.7
ブライス・パーキンス
QBの2020年スタッツ

なんと言ってもQBポジションはラムズの今年の目玉ですね。ラムズが再びスーパーボウルに出場できるかは昨年までエースQBだったジャレッド・ゴフに加え多くの資産と引き換えにライオンズからトレードで獲得したマシュー・スタッフォードの肩にかかっています。

スタッフォードは昨シーズンライオンズでパス成功率64.2%、4,084ヤード、26TD、10INTを記録。一方のゴフは成功率67%、3,952ヤード、20TD、13INTと数字の面で見るとスタッフォードに分があります。特にTDとINTの比率はゴフが1:0.65なのに対し、スタッフォードが1:0.385と比較的安定した成績。ちなみにトッププレイヤーと比較してしまうとトム・ブレイディが40:12(1:0.3)、パトリック・マホームズが38:6(1:0.158)。マホームズはやっぱり化け物ですね…

またパス試投に対するインターセプトの割合はスタッフォードが1.9%で全体の15位、ゴフが2.4%で24位となっています。

スタッフォードの2020年エリアごとのパサーレイティング
ゴフの2020年エリアごとのパサーレイティング

こちらの画像はスタッフォードとゴフのエリアごとのパサーレイティングで、緑が平均を大きく超えるレベル、黄色が平均程度で赤が大きく下回っているというものです。これを見るとショートヤードではゴフに分があるものの、スタッフォードは全体的にバランスよくレイティングを獲得しており、特に20ヤード以上の深いエリアに対するパサーレイティングは非常に高い数値を記録しています。これは2017、18年のゴフ全盛期と同じくらいだったりするのですが、ここ2年のゴフと比べるとやはりスタッフォードの方が安定して良いパフォーマンスを見せています。

ゴフの2017年〜19年のエリアごとのパサーレイティングなどは下記でまとめていますので興味があればご覧ください。

このように個人の数字だけ見ればスタッフォードはゴフの上位互換と言えますが、ただ一つの懸念はスタッフォードが12年のキャリアで勝ち越したのは4シーズンしかなく、ポストシーズン進出は3度のみでいずれも未勝利に終わっている点です。通算成績でも74勝90敗1分と負け越しているので、今までのライオンズよりも良いであろう環境で実力を発揮できるか、そして今までの負けは自分の実力によるものではなかったということが証明できるのか。スタッフォードの真価が問われます。

バックアップを務めるジョン・ウォルフォードは昨シーズン最終戦とポストシーズン第1戦に出場しました。QBとしての実力・経験はスタッフォードとは比ぶべくもないのですが、動けるQBなので今までと違うラムズのオフェンスを見せてくれる可能性を秘めており、なんだか期待してしまいます。3番手で、2020年にドラフト外で入団したブライス・パーキンスはウォルフォードよりもさらに動けるモバイルQB。プレシーズンでは2つのタッチダウンパスと82ラッシングヤードを記録するなど、場合によっては2番手に昇格する可能性もある、非常に楽しみな選手です。

ゴフのトレードは複雑なものではありましたが、スタッフォードの個人スタッツだけ見れば純粋なアップグレードと言えるため、プレーオフは射程圏内、あわよくばスーパーボウルまで導く活躍をしてくれる可能性は十分あります。

総合評価:B+

ランニングバック

出場(先発)ランYds(平均)TDレシーブキャッチ%Yds(平均)TD
ダレル・ヘンダーソン15(11)138回624(4.5)516回66.7%159(9.9)1
ソニー・ミッシェル9(6)79回449(5.7)17回77.8%114(16.3)1
ジェイク・ファンク
RBの2020年スタッツ

RBは何と言ってもプレシーズン直前にエースRB候補筆頭だったキャム・エイカーズがアキレス腱断裂でシーズン終了となってしまったのが大きいですね。レギュラーシーズンの日程紹介アニメではスーパーマン風のコスプレをさせられ、ポスト・トッド・ガーリー時代の救世主と目されるような存在でしたが怪我ばかりはどうすることもできません。そこで2番手のダレル・ヘンダーソンがトップに繰り上がりますが、昨シーズン後半から明らかに調子を落とし、プレーオフに至っては怪我で出場できませんでした。加えてラムズに5年所属したマルコム・ブラウンがドルフィンズに移籍してしまったこともあり、その次に控えるのは7巡目指名のジェイク・ファンクという寂しいロースター。

そんな中ペイトリオッツから2022年のドラフト5、6巡目指名権と引き換えにソニー・ミシェルをトレードで獲得しました。元1巡目指名のミシェルは昨シーズンは怪我で9試合の出場にとどまったものの、2018、19年は900ヤード以上を走っており、健康であればヘンダーソンを凌ぐ活躍を見せてくれる可能性があるのでこのタイミングでのトレードは渡りに船でした。

プレシーズンを見ているとエグゼイビアー・ジョーンズが鋭いカットバックを見せてくれたりしたのですが、残念ながら怪我をしてしまいました。

エイカーズのシーズン終了やマルコム・ブラウンの移籍など懸念材料満載の中、ソニー・ミッシェルの獲得は大きいですがチームで最も不安が残るポジションの一つだと思います。

総合評価:D+

ワイドレシーバー

出場(先発)レシーブYds(平均)TDキャッチ%ランYds(平均)TDADOT
ロバート・ウッズ16(16)90回936(10.4)669.8%24回155(6.5)26.7
クーパー・カップ15(12)92回974(10.6)374.2%4回33(8.3)06
ヴァン・ジェファーソン16(0)19回220(11.6)161.3%1回-1(-1)010.2
デショーン・ジャクソン5(5)14回236(16.9)153.8%1回12(12)016.6
トゥトゥ・アトウェル
ベン・ショーロニク
WRの2020年スタッツ

ラムズのストロングポイントの1つがこのWR陣。ラムズのWR陣をチーム別WRランキングで9位に順位付けしたPFFによると、ロバート・ウッズの過去3年間シングルカバレッジでのオープン比率は62.1%でNFL11位となっており、キャッチ可能なパス596回のうち34回しか落としていません。そしてラムズWR陣の片翼であるクーパー・カップはシングルカバレッジでのオープン比率59.5%を記録。カップの特徴はタックルされてもそこから更に前に進もうとするセカンドエフォートで、怪我を顧みずガムシャラに前に進もうとする姿はめちゃくちゃかっこいいですし見ていて熱くなります。

WRデュオで絞ったBleacher Reportのランキングでは6位に入ったこの2人のウィークポイントはそのスピード。2人の昨シーズンのADOT(Average depth of targetの略で、ターゲットになったときにどれだけ深いエリアにいたかの平均)はウッズが6.7ヤードカップが6ヤードでした。昨シーズンテキサンズにトレードされるまでラムズのレシーバー陣をスピードでリードしていたブランディン・クックスは昨季テキサンズで11.8ヤードだったので、ターゲットになるまで倍近く走っていることになりますね。もちろんこれはチームのオフェンススキームや、ゴフがショートパス中心のプレイになっていたという要因もありますが、サンプル数こそ少ないものの今季3番手を争う2年目のヴァン・ジェファーソンのADOTは10.2を、イーグルスから移籍してきたデショーン・ジャクソンは16.6をマークしているので、この2人がラムズに深みをもたらしてくれればスタッフォードの力強い武器になるでしょう。さらにドラフト2位のトゥトゥ・アトウェルは40ヤードを最速4.27秒で走る俊足の持ち主。前述したスタッフォードのロングパスの精度と合わされば2018年にラムズが成功を収めた展開を再現することができます。これらがうまく機能すればロバート・ウッズとクーパー・カップのWRデュオを軸に、ディープスレットのヴァン・ジェファーソン、デショーン・ジャクソン、トゥトゥ・アトウェルの3人がディフェンスをかき回す、バランスの取れたパス攻撃ができそうです。

このポジションでは4年間在籍したジョシュ・レイノルズがタイタンズに移籍しました。

総合評価:A-

タイトエンド

出場(先発)レシーブYds(平均)TDキャッチ%ランYds(平均)TD
タイラー・ヒグビー16(15)40回521(11.8)573.3%1回1(1)0
ジョニー・ムント16(1)484(13.3)0100%
ブライセン・ホプキンス
ジェイコブ・ハリス
TEの2020年スタッツ

ここ数年TEのポジションはタイラー・ヒグビーとジェラルド・エバレットの2人体制でしたが、キャップスペースの都合でエバレットとは契約を延長せず、結果同地区ライバルのシーホークスに移籍してしまいました。昨年のレシーブ回数はヒグビーが44回、エバレットが41回で分け合うかたちとなりましたが、ヒグビーはここ3年のキャッチ率が70%を超えているのに対し、エバレットは平均64.6%と少し見劣りする数字に。取ったと思ったパスを落としてしまうこと(Dropped passes)も7回(ヒグビーは3回)あったので、安定感という意味でもヒグビーの方が上でした。それでも昨年のキャッチ率66.1%はレシーブ40回以上を記録したTE21人のうち12位に入るレベルで、QBラッセル・ウィルソンとの相性次第ではかなりの脅威になるかもしれません。

エバレットが抜けたTEポジションには4年のキャリアで9回のレシーブ経験しかないジョニー・ムントと20年のドラフト4巡目指名ブライセン・ホプキンスなどが控えます。今年のドラフト4巡目指名でアメフト歴3、4年のジェイコブ・ハリスは将来が楽しみな選手の一人ですが、今年はヒグビーのスナップ比重が高くなることが予想されるため、ヒグビーがシーズンを通して安定した活躍ができるか、そして出番が回ってきそうな2年目のホプキンスの成長がこのポジションの鍵になると思います。

総合評価:C+

オフェンシブライン

出場(先発)スナップ
アンドリュー・ウィットワース(LT)9(9)599回
デビッド・エドワーズ(LG)16(14)1,005回
ブライアン・アレン(C)
オースティン・コルベット(RG)16(16)1,119回
ロブ・ヘブンスタイン(RT)16(16)1,116回
OLの2020年スタッツ

あまり話題になりませんが、実は頼りになるのがこのOL陣。PFFは昨シーズンのラムズOLをNFL全体の3位にランクインさせました。許したサックは25回で6位に着け、最低だったイーグルスの65回と比べると40回も差があります。それにしても65回って…

QBにプレッシャーが掛かった割合も20%で11位と比較的上位だったOLは、今年不惑の40歳を迎えるLTアンドリュー・ウィットワースを軸としてLGデビッド・エドワーズ、RGオースティン・コルベット、RTロブ・ヘブンスタインのスターターは変わらず、昨年センターを務めたオースティン・ブライスがチーフスに移籍してできた穴を、2019年以来怪我で出場がないブライアン・アレンが埋めます。そのためスターターの変動はほぼなく、ブライアン・アレンの活躍が唯一の懸念材料となりそうです。とはいえプレシーズン前のキャンプではRGのコルベットがセンターを任される想定だったようですが、アレンが実力でセンターポジションを勝ち取ったようなので期待していいかもしれません。ちなみにRGのコルベットは昨年全てのスナップでプレイしました。今年も安定した活躍を期待します。

IPPプログラムでラムズの練習に参加していたマックス・パーチャーは残念ながら生き残ることができませんでした。

総合評価:B

次はディフェンス、スペシャルチーム編です。

ディフェンス戦力

ここからはディフェンス編です。昨シーズンのラムズディフェンスは総喪失ヤード(4,511ヤード、1試合平均281.9)とパス喪失ヤード(3,051、平均190.7)、総失点(296点、平均18.5)でNFLトップの成績を残しました。

そんなラムズディフェンスですが、活躍した選手の移籍に反してFAでの補強は行なっていないため少々スケールダウンした感が否めません。また昨年DCを務めたブランドン・ステーリーもチャージャーズのHCになってしまったため、昨年ほどの成功は難しいかもしれません。

ディフェンシブライン

出場(先発)タックルアシストTFLQBヒットサック
アショーン・ロビンソン(DE)8(0)66010
セバスティアン・ジョゼフ(NT)16(16)3520141
アーロン・ドナルド(DT)16(16)2718142813.5
グレッグ・ゲインズ(DE)16(0)99131.5
ジョナ・ウィリアムス(DE)
ボビー・ブラウン(NT)
マイケル・ホイト(DT)
主なDLの2020年スタッツ

DLにはラムズの核とも言える選手、現役最強のDTアーロン・ドナルドが君臨しています。ドナルドは昨年、パスラッシュ約70%でダブルチームのブロックを受けており、そのうちOLに打ち勝った割合は20%を超え、同じDTの選手たちと比較するとダブルチームの割合・勝率共にトップの成績を残しました。散布図で見ると一人だけ別次元の活躍をしたことがわかりますね。ドナルドがダブルチームを引き受けながらも13.5回のサックを記録する活躍でQBへプレッシャーをかけることで、結果的にディフェンス全体にその動きが波及するというのがラムズのディフェンスの軸になっています。

しかし9年間在籍しドナルドの逆サイドを務めたマイケル・ブロッカーズをサラリーキャップの問題でライオンズにトレードに出してしまったため、今年はDEをアショーン・ロビンソンが務めます。ブロッカーズと比べるとダウングレード感は否めませんが、ランストップは得意なようなのでブロッカーズの抜けた穴をうまく埋めてくれることを願います。NTには昨年に引き続きセバスティアン・ジェゼフ(デイ)が入ります。

ドナルドは依然として支配的な選手ですが、ブロッカーズの他に昨年6サックを挙げたDEモーガン・フォックスも移籍してしまったにも関わらずDLは補強を行なっていないため、昨年ほどのディフェンスの成功を収めるのは難しいかもしれません。

総合評価:B+

ラインバッカー

出場(先発)タックルアシストTFLQBヒットサックINT
レナード・フロイド(OLB)16(16)3124111910.50
トロイ・リーダー(ILB)16(7)53285430
ケニー・ヤング(ILB)16(6)31213211
ジャスティン・ホリンズ(OLB)16(0)18103530
オボニア・オクロンクオ(OLB)10(0)841310
主なLBの2020年スタッツ

このポジションでは昨年4.5サックを挙げたサムソン・エブカムが移籍してしまったことで戦力ダウン。現有戦力は4年69億円で契約を更新したOLBレナード・フロイドと昨年頭角を現したILBトロイ・リーダーが中心となり、ILBケニー・ヤングなどが後に続くかたちです。トロイ・リーダーは昨年ILBマイカ・カイザーが欠場した5試合目と11試合目〜最後までの7試合での先発で自己最多の81タックル(ソロ53回)を記録。今年はリーダーとカイザーが先発を争うと見られていましたが、カイザーがカットされてしまったのは意外でした。2019、20年と期待をかけられながらも怪我で多くの試合を欠場してしまっていたので、今年こそレギュラー定着かと思っていたんですが…

4年目で怪我しがちなカイザーと比べ、ドラフト外入団の3年目で成長著しいリーダーが選ばれたというかたちでした。契約面に関してはあまり詳しくないのですが、ドラフト3〜7巡目の下位指名選手はスナップの35%に参加すると最低年俸が設定されるとのことなので、カイザーが35%に参加していたかは微妙ですがそういった契約面も見られたのかもしれないですね。

プレシーズン2戦目で1.5サックの活躍を見せた7巡目指名のクリス・ギャレットもロースター入りしましたが、3年連続全試合先発出場のレナード・フロイド以外は先発定着が目標となるため、ディフェンスのウィークポイントになり得るポジションであり、一方で定着さえすれば安定したグループとも言えそうです。

総合評価:C+

コーナーバック

出場(先発)タックルアシストTFLQBヒットINTPass Comp%
ジャレン・ラムジー15(15)36821154.2%
ダリウス・ウィリアムス16(10)37710450.7%
デビッド・ロング16(1)6100083.3%
ロバート・ロシェル
CBの2020年スタッツ

20年のNFL Top 100プレイヤーにラムズとしてはアーロン・ドナルドに次いで13位に選ばれたジャレン・ラムジーが核となるCBでは、昨年はラムジー、次いでトロイ・ヒル、ダリウス・ウィリアムスの3人のニッケルバックで10試合を戦いましたが、77タックル、3INTを記録してPFFのカバレッジグレードでNFLトップ30に入る活躍をしたヒルはブラウンズに4年26億円の契約で移籍してしまいました。

一方でポジティブな要素もあります。Pro-Football-Referenceによるとダリウス・ウィリアムスが相手に許したパスの成功率(Pass Comp%)は54.2%で、CBの中で13位に着けました。ラムジーは50.7%で5位だったので、パスカバレッジに関してはNFLでもトップレベルのCBデュオといえます。もちろんラムジーに比べるとマッチアップ相手の難易度が低い可能性があるということもありますが、PFFの総合力ではラムジーが79.8、ウィリアムスが80と同列の評価を受けました。

とはいえ今年もCB3人体制でいく場合、3人目は3年目のデビッド・ロングとドラフト4巡目のロバート・ロシェルが争います。いずれも実戦経験に乏しいためグレードダウンは避けられそうにありませんが、ジャレン・ラムジーとダリウス・ウィリアムスのコンビは強力なため総合的に見ればラムズのストロングポイントとなるでしょう。

総合評価:A-

セーフティ

出場(先発)タックルアシストTFLQBヒットINT
ジョーダン・フラー12(12)4218003
テイラー・ラップ9(5)3212101
テレル・バーゲス7(0)71000
ニック・スコット15(0)115
主なSの2020年スタッツ

セーフティでは昨年全試合に先発出場して73タックル、1INTを記録したジョン・ジョンソンがCBトロイ・ヒルと一緒にブラウンズに移籍してしまいましたが、ジョーダン・フラー、一昨年のドラフト2巡目のテイラー・ラップ、昨年の3巡目指名テレル・バーゲス、ニック・スコットがロースター入り。ラップは昨年の後半戦を怪我で欠場してしまいましたが、新人年は15試合でタックル100回と2つのインターセプトを記録するなど実力十分。バーゲスとスコットもポテンシャルは高く評価されています。

リーグでもトップクラスのジョン・ジョンソンの移籍は大きいですが、ジョーダン・フラーとテイラー・ラップが健康を維持できれば強力なユニットを形成できると思います。

総合評価:B-

スペシャルチーム

出場FG1-19Yds20-2930-3940-4950+最長XP
マット・ゲイ(K)1214/16(87.5%)0-02-25-66-71-15116
主なSの2020年スタッツ

キッカーは昨年後半から加入したマット・ゲイが引き続き担当。FGは16回中14回(成功率87.5%)、エクストラポイントは16回全て成功、最長51ヤードを決めるなど前任のサム・スローマンと比べると雲泥の差です。グレッグ・ズアーレインが移籍したときはどうなることかと思いましたが、今年もゲイが安定感あるプレイを見せてくれればKは一安心です。

出場パント最長YDS平均タッチバックIN20NET
ジョニー・ヘッカー(P)1668633,09945.65(7.4%)28(41.2%)39.2
主なSの2020年スタッツ

パンターは結局ジョニー・ヘッカーになりました。生き残りを懸けて競争していたコーリー・ボホルケスは2023年の7巡目指名権とセットで、6巡目指名権との引き換えでパッカーズにトレードとなりました。ボホルケスはプレシーズンで素晴らしい活躍をしていたのでどうなるか楽しみだったのですが、もしかしたら最初からヘッカーに決めていて問題が起きればボホルケスに乗り換える、何もなければプレシーズンで活躍してもらって有用なトレード要員として価値を上げてもらう、というような算段だったのかもしれませんね。

生き残ったプロボウル4回選出のヘッカーは昨年パント68回で3,099ヤード、最長63ヤード、タッチバック5回、IN20(敵陣20ヤード以内に落としたパント)は28回(41.2%)、NET平均(パントヤードからリターンヤードを引いた値)は39.2ヤードを記録しましたが、最長距離、平均ヤード、NET平均でプロ入り後最低の数字でした。年齢的な衰えを感じさせるパフォーマンスだったからこそボホルケスを獲得したのだと思いましたが、ラムズはまだヘッカーを信じているようです。確かに長年培った技術はありますが、何よりも勝ちにこだわるマクベイHCならボホルケスに乗り換えるんじゃないかと思っていましたが…

ヘッカーとボホルケスの比較は下記で行っていますので興味がある方はこちらもチェックしてみてください。

昨年はパントリターナーをなぜかエースレシーバーのクーパー・カップが務める場面もありましたが、特段脚が速いわけでもないので結果を残せませんでしたし、観ている方からしてもそこで怪我でもされたらたまったものではないので正直やめて欲しかったですね。今年はおそらく最初はトゥトゥ・アトウェルが務めるのではないでしょうか。プレシーズンでも素晴らしいスピードを見せてくれたので、ビッグプレイを生み出してくれるんじゃないかと期待しています。

昨年問題だったキッカーはマット・ゲイを据えることで解決。パンター争いも一段落したのでキッカー、パンターポジション大きな問題はなさそうです。

総合評価:B-

まとめ

いかがだったでしょうか。かなり長くなってしまいましたが、ある程度ラムズの戦力を確認いただけたかと思います。今年のラムズはなんといってもQBマシュー・スタッフォードが活躍できるか、その一点に尽きるんじゃないでしょうか。それでは最後にまとめで終わりたいと思います。

  • オフェンス最大の補強であるQBスタッフォードは期待大
  • WRが戦力アップした反面、RBはエイカーズの穴が大きく戦力ダウンは必至
  • TEはエバレット移籍でスケールダウン、OLはほぼ変わらず
  • ディフェンスは昨年活躍した選手が移籍した影響が大きいとみられる(特にDL)
  • LBは横ばいか若干弱体化、CBはラムジーとウィリアムスのコンビが期待できる
  • Sは計算できそうな布陣、スペシャルチームは安定した活躍を見込めそう

最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました